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29.福岡市地下鉄七隈線(延伸区間)・JR鹿児島本線(博多-千早) -"キャナル新駅"が変える福岡都心- #福岡

「車内中ほどまでお進みください。快速門司港行き、ドアが閉まります」

夕刻の博多駅ホーム。ドアに手をかけ体を押し込んで乗るレベルの混雑は、東京の夕ラッシュと何も変わるところはない。

 

* * *

 

・バスがメインのキャナルシティ博多

地下鉄天神駅から那珂川畔を歩き、キャナルシティ博多へ向かった。

f:id:stationoffice:20180902190203j:image中央左のサーモンピンク色の建物がキャナルシティ博多

キャナルシティ博多へ最も近い地下鉄駅は地下鉄空港線祇園駅で、広大なキャナルの場所にもよるが徒歩5分程度。空港線に加え箱崎線が接続する中洲川端駅からは、博多最古の商業地域・川端通商店街を経由して徒歩8分と、地下鉄利用の場合は最もよく利用されるルートだろう。そして広域アクセスを担うJR博多駅まででも徒歩10分、繁華街の中心たる天神からでも徒歩15分程度。駅直結というわけではないが、どこの駅からも近くも遠くもない…という絶妙な距離感。

キャナルの性格からして普段使いのものを買うというよりは、キャナルにしかないブランドショップやアパレル、カルチャーショップ等が来店目的の中心と思われるため、毎日来るというよりはたまに来るところ、という感じ。従って買い物帰りは荷物も多いと思われ、駅からやや距離があるキャナルは、都心部にありながら車での来店が多数を占めるのではないだろうか。

f:id:stationoffice:20180902190339j:imageキャナルを象徴する水路を取り入れたオープンスペース。ここを核に各ショップが取り囲む

f:id:stationoffice:20180902190528j:image九州ではここしかない「ジャンプショップ」外国人の関心も高い
f:id:stationoffice:20180902190524j:image同じく九州ではここしかないトミカプラレールショップ。こうした"九州ではここだけ"のショップ達が重要な来店動機になる

博多駅からキャナルまでの道のりは一般的なビジネス街だからまだしも、天神からキャナルへの道のりは繁華街…というか、歓楽街として名高い中洲であり、昼間は眠ったように静かだが、夕刻ともなればネオンの光が輝きだす。歓楽街特有のにおいも立ち込め、那珂川の水面は爽やかだが、決して歩いていて心地よい道のりではない。川べりの歓楽街という様子は、目黒川に沿って連れ込み宿さながらのラブホテルが立ち並ぶ、東京・五反田を彷彿とさせる。

従って、キャナルへの公共交通機関キャナルの目の前からすぐ乗れる、西鉄バスが中心となっているようだ。天神〜キャナルシティ博多博多駅を最短距離で結ぶ「キャナルシティラインバス」が5〜10分間隔でシャトル運行しているのをはじめ、市内各所まで直通する西鉄バスが「キャナルシティ博多前」「キャナルイーストビル前」から多数発着している。キャナルからは博多駅へも天神へも福岡都心100円区間に含まれることから、博多駅から徒歩10分、天神から徒歩15分程度であってもバスを選ぶ来店者は多いだろう。

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f:id:stationoffice:20180903025453j:imageキャナルシティ博多のアクセス案内。公共交通機関利用ではまず西鉄バス利用が推されており、かなり丁寧なアクセスガイドが掲載されている。キャナル西鉄バスは相乗効果を発揮する関係

ただ、明らかに外国人観光客をはじめとした旅行者を対象にしたショップが少なくない中で、アクセスをほぼ西鉄バスに頼っている現状は、決して旅行者にとって優しくない。

博多駅キャナル〜天神をシャトル運行する「キャナルシティラインバス」や、博多駅〜天神〜ウォーターフロント地区を循環運行する「連節バス」など、単純かつわかりやすい運行に特化した系統もあるにはある。しかし、この2つも含め、似たような性格を持つ都心部シャトルバスが並存しているあたり、西鉄バスの複雑怪奇ぶりを象徴していると言えよう。

f:id:stationoffice:20180903023921j:imageキャナルシティラインバスと福岡都心100円をPRする広告。キャナルシティラインバスは博多駅キャナル〜天神の連絡に特化しているためこの感を最短経路で結んでいるが、遠回り経路のバスも多い。旅行者が西鉄バスを乗りこなすのは非常に難しい

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f:id:stationoffice:20180903024515j:image2016年に運行開始した連節バスのPRページ。停車停留所を絞り、ウォーターフロント地区〜天神〜博多駅ウォーターフロント地区の循環運行をしているが、観光客向け・博多駅〜天神の短絡と、目的の多くがキャナルシティラインバスと被る。許認可の問題があるにせよ、渡辺通一丁目経由をやめてキャナルシティ博多前を経由させ、「キャナルシティラインバス」と統合した方が良いように思うのだが

西鉄バスの複雑さは他都市の追随を許さない折り紙つきで、ちょっとやそっとでわかるものではない。「天神〜博多駅100円」に釣られて、適当に来た「博多駅行き」に乗ろうものなら、遠回りの経路(『住吉通り経由』など)だった上に渋滞に巻き込まれ、地下鉄なら6分・200円のところに30分もかかってしまった…なんて話は珍しくないのだ。

f:id:stationoffice:20180903030723j:image博多駅から天神を経由して百道浜方面へ向かう西鉄バス44番。観光客の利用も多いメジャーな系統だが、博多駅〜天神は遠回りの住吉通り経由のため(行先表示にも書いてあるが)定刻でも20分を要する。キャナルシティラインバスを含む「国体道路経由」なら13〜15分程度なのだが、旅行者には判別しにくい。

七隈線"キャナル新駅"への期待

そんなキャナルであるが、目の前に地下鉄七隈線の新駅が造られようとしている。

f:id:stationoffice:20180903032934j:image福岡市地下鉄路線図。天神南を起点に西南部へ向かう緑線が七隈線の既開業区間で、赤破線が七隈線延伸区間。延伸区間の中間駅がキャナルシティ博多の目の前にできる予定

現在の七隈線の起点は「天神南駅」であり、ここを起点として福岡市南西部の橋本へ向かう。天神南駅天神地下街空港線天神駅や、西鉄ソラリアステージ、岩田屋百貨店、大丸などの各種施設と結ばれてはいるが、天神の南の外れであり、空港線天神駅までは550m・徒歩8分と案内される。

f:id:stationoffice:20180903031927j:image福岡市交通局による空港線天神駅七隈線天神南駅の乗換案内。 "意外に遠くない"ことを強調しているかのよう

七隈線は起点の天神南空港線(・箱崎線)および西鉄天神大牟田線と、天神南から2つ目の薬院(やくいん)で同じく西鉄天神大牟田線と接続する以外は他路線との接続駅を持たず、天神南から鉄道空白地帯であった西南部へと伸びてゆくのみで、ネットワーク性を殆ど持たない。加えて天神南空港線乗り換えが不便であること、並行する西鉄バスとの調整もあまりうまくいかなかった(特に博多駅へは天神南空港線へ乗り換えるか、薬院西鉄バスへ乗り換える必要があり、最初からバスに乗った方が早くて安かった)こと等の要因が重なり、苦戦が続いている。2005年の開業から10年間、2015年までは予想を下回る利用実績に終わった。

そこで、集客力があり、且つどこの駅からも離れていたキャナルシティ博多を経由して博多駅へと延長する計画が持ち上がり、開業8年後の2013年に着工。現在は2022年の開通を目指し、建設中である。ただ、2016年にはかた駅前通りで大規模な陥没事故を起こしたのは記憶に新しく、この影響で開通が2020→2022年度に延びるなど、喜んでばかりはいられない。

f:id:stationoffice:20180902190833j:image地下鉄開通を睨んで全館規模のリニューアルが進む(奥)

天神南〜博多間の延伸がなれば、七隈線沿線の利便性向上に繋がるだけでなく、混雑が激しい空港線天神〜博多間のバイパスルートが形成されるために空港線の混雑も緩和され、七隈線から福岡空港へも不便な天神南でなく博多駅で容易に乗り換えられる…等、様々な効果が見込まれている。

七隈線"おとなりきっぷ"が福岡を変える

延伸区間唯一の途中駅となる"キャナル新駅"は台風の目となるはずだ。現状でも高い集客力を持つキャナルが"地下鉄直結"となれば、商圏がさらに拡大し、七隈線だけでなく地下鉄全線と相乗効果を上げるようになる。また、博多駅キャナル天神南キャナルといった短区間利用の掘り起こしも大いに期待でき、現状はほぼ沿線住民の利用に限られる七隈線が、福岡都心の域内移動にも利用できるようになるのは、大量輸送機関たる地下鉄の面目躍如となる。

そこで、復活を期待したいのが「おとなりきっぷ」である。七隈線開通すぐの2006年からスタートし、隣駅まで100円(ICカード利用含む)としたものだが、「所期の目的であった増客を果たした」として2016年に廃止、代替となるポイント加算に移行されてしまった。

f:id:stationoffice:20180903034449j:image当時のPR。100円を強調するあたり西鉄バスへの対抗心が透ける

明らかに西鉄バスの福岡都心100円(1999年開始)を意識した施策であったが、どうも長続きしなかった。地下鉄1駅のような短距離利用であれば、歩道からすぐ乗れるバスの方がラクだったということもあるだろう。

しかし、「博多駅キャナル」「天神(天神南)⇔キャナル」といった短距離利用の掘り起こしに際して、おとなりきっぷの復活は七隈線の利用促進に間違いなくプラスに作用する。歩いて10〜15分だが地下鉄なら僅か2分、博多駅でのJR乗り換えも便利とあらば、初乗り200円だと躊躇しても100円ならば乗ってみよう、という流れを生み出せる。この点、博多駅前の乗り場が非常にわかりにくい西鉄バスに対して、「七隈線のりば」という確固たるランドマークを持つ七隈線はバスに対しても非常に有利になる。

ただ単に造っても利用されなければ意味がないし、税金を投入したインフラが放置されるという最悪の事態を招いてしまう。歩いても行ける距離を利用してもらうには、ハードの整備ももちろんながら、効果的な運賃制度を構築するというソフトの拡充も怠ってはならない。おとなりきっぷの復活は、空港線から外れた福岡都心の南側を活性化させるという意味合いも持たせることができる。

f:id:stationoffice:20180903040157j:image博多駅のイメージ。空港線・JR乗り換えは150〜180mと、天神南の550mに比べ大幅に短縮される。JR乗り換えも空港線に劣らず、大いに利用を見込めるだろう

単なる地下鉄の延伸でなく、"線"の動きに留まっていた福岡都心の人の流れが、"面"的に拡大するといっても過言ではない七隈線の延伸。天神南─(七隈線)─博多─(空港線)─天神の間が実質的な環状線となり、この"福岡環状線"に囲まれた範囲は高度な都市機能の集積が図られることになろう。地下鉄のみで環状区間が形成されるのは、東京、名古屋、大阪以外では初となるのだ。

f:id:stationoffice:20180903040149j:image地下鉄路線図を再掲。七隈線天神南〜博多〜空港線天神間が環状となるのがわかる。環状線の内側はどこの駅へも近くなり、高度利用が進みやすくなる

西鉄バスとの調整は今後とも課題になるが、西鉄には具体化しないマリンメッセ福岡、および福岡タワー・ヤフオクドーム等のウォーターフロント地区への交通整備において頑張ってもらばよいと思う。現状は天神一帯にバスが溢れている状況であり、そのバスも渋滞に阻まれて遅く、時間通りに来ない。都心部のバス需要を地下鉄へ振り向け、その余力を開発が進むウォーターフロントのバスの充実に振り向けてもらえば、両者の棲み分けに繋がるだろう。

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駅から離れたキャナルの賑わいと、西鉄バスの混雑ぶりからは、七隈線を待ち望む街の声が透けて聞こえるかのようだった。

・大混雑の鹿児島本線快速

ひと通りの九州土産をキャナルで買い込み、JR博多駅へ歩いていった。道のりははかた駅前通りを経由してまっすぐ徒歩10分ながら、辺りは中小の雑居ビルが立ち並ぶビジネス街で、新幹線の駅に近いことから金融機関の支店やビジネスホテルが目立つ。キャナルの客層には縁がないものばかりで、キャナルが"ぽっと出"であることを強く認識させられる。言い換えれば、休日ともなれば無人であったはかた駅前通りに、キャナルが買い物客を呼び寄せたとも言えるのだが、それによる街の変化までには至っていないようだ。

f:id:stationoffice:20180903005013j:image天神地区の売り上げに影響を及ぼすほど成長したJR博多シティ

f:id:stationoffice:20180903005009j:image博多祇園山笠まつりのPRも行われていた。大きな山笠が収まるほどの大屋根

f:id:stationoffice:20180903005542j:image博多郵便局を再開発したKITTE博多。東京駅丸の内口前・東京中央郵便局に続く2号店

博多駅は人の渦だった。博多駅自体も2011年の九州新幹線全通を機に「JR博多シティ」として全面リニューアルを果たし、九州初の阪急百貨店や東急ハンズが強力に集客しているほか、日本郵政グループによるKITTE博多とも繋がり、天神地区に対抗する一大商業地区を形成するに至っている。そのため、九州新幹線開通以前は通過点・ビジネス拠点の性格が強かった博多駅にも、かなり彩りが出てきたように思う。

f:id:stationoffice:20180903041838j:image普通から特急まで同じホームから発着。法則性があまりないので念入りに確認しなければならない

博多18:24発快速門司港行きに乗るべく発車5分前のホームに上がると、既に行列が広いホームの反対側にまで達していた。1ドアあたり30〜50人は並んでいるだろうか。ホームが多数あるので先発・次発のような乗車区分こそないが、それでも東京圏顔負けの整然とした整列乗車である。

f:id:stationoffice:20180903011240j:image快速門司港行きが到着。長い長い整列乗車の列をあっという間に飲み込んでいく

博多18:24発快速門司港行き(荒木17:34→博多18:24→小倉19:36→門司港20:00)は、817系3両×3本の9両編成で18:22に到着。かつて近郊電車の主役だった811系や813系は転換クロスシート主体だったが、この817系はオールロングシート。着席時の快適性を若干犠牲にしてでも混雑緩和に重点を置いており、それが必要な状況であるということも理解できた。

また、着席時の快適性を求める向きは特急に誘導したということでもある。この時間帯、小倉方面へは快速も特急も約20分間隔であり、運転間隔は互角である。快速は小倉まで1時間10〜20分を要するが、特急ならば40〜50分。博多近郊を主眼に置いた快速と、対北九州を主眼に置いた特急とで役割分担をしているのだろう。

この18:24発の快速は博多から北九州市内の八幡まで特急に抜かれず、赤間・折尾・黒崎といった主要な特急停車駅まで先着という、毎時3本あるうち最も先着区間が長い快速だった。他2本はというと、18:04発区間快速(福間から各駅停車)は赤間、18:47発快速は古賀と、博多圏から抜け出す前に特急待避がある。他を見ていないのでわからないが、ともかく混雑はかなりのものだった。

地下鉄の6両編成に比べ、列車頻度が下がるが故の9両編成という長い編成の満員電車は、やはりボリュームが段違いだ。夕ラッシュは9両編成が最長だが、朝は名古屋圏にすらない12両編成の快速があるというから、その混雑の激しさが窺い知れよう。

到着した快速からはパラパラと降車があるが、降車が終わった途端、待ち構えていた乗客の長い列を飲み込んでいく。地方にありがちな、ドア付近ばかり混雑して車内中央が空いているということもなく、むしろ先頭に並んでいた乗客が率先して奥へ奥へと詰めていく。後からどんどん乗ってくるということが体で分かっているのだろう。発車間際に乗り込む乗客はドアの上に手をかけて自分の体を押し込んで乗るレベルで、まるで中央線の新宿駅さながらの乗車シーンである。

f:id:stationoffice:20180903042225p:imageなんとか乗客を押し込んだ快速門司港行き

それでも2分停車の間になんとか乗り込み、18:24の定刻に発車。ゆらゆらとポイントを渡り、都市高速を潜ってスピードを上げる。博多から3分、JRにおいては福岡県庁最寄りとなる吉塚でもさらに帰宅客を乗せ、車内の混雑は更に激しくなる。九州大学箱崎キャンパスに近く、大学生の姿が見える箱崎を高速で通過し、多々良川を渡る。一応福岡都心と言えるのは箱崎までで、段々と住宅街になっていく。

博多から8分で千早。さいたま新都心のように旧国鉄香椎操車場(貨物ヤード)を再開発した地で、2003年の駅開業以来高層マンションの建設ラッシュが続く。乗降客数も約24,000人(2017年度)とJR九州11位を記録しており、これは長崎(約21,000人)や久留米(約16,000人)、また同じ福岡近郊で伸びが著しい筑肥線九大学研都市(約17,000人)や筑前前原(約15,000人)より多い。

f:id:stationoffice:20180903042413j:image千早に到着。幾分混雑がやわらぐ

従って千早での下車がそこそこあり、乗車もあるが差し引き若干混雑がやわらいだ。自分も千早で降り、西鉄貝塚線へ乗り換える。それでも千早からの乗客はドアの上に手をかけて乗る始末で、9両編成にも関わらず相当な混雑であることに変わりはなかった。

f:id:stationoffice:20180903042641j:image千早は2面4線の標準的な高架駅。中央の線路は貨物列車用引上線
f:id:stationoffice:20180903042637j:image開業13年で香椎と並ぶ確固たる地位を築いた

・独占区間故の混雑なのか

正直、小倉方面への鹿児島本線快速がこれほど混むとは思っていなかった。久留米・大牟田方面へは天神から西鉄天神大牟田線鹿児島本線にほぼ並行して伸びているが、福間・小倉方面へは鹿児島本線一本しかないこともあるだろう。国鉄時代に進まなかった分、JRになってからの新駅設置も数多い。

ただ、列車本数という面においては、まだ名古屋に一歩劣る印象を受ける。夕ラッシュのピークでも特急3本/h・快速3本/h・普通4本/hの計10本/hと、日中と比較して特急・普通が1本/hずつ増えるに過ぎない。博多→千早のような快速停車駅間の短距離移動でも、18時台に14分待ちとなる穴があるなど、地下鉄や西鉄と比較するとJRの本数の少なさが際立つ。西鉄は18時台に特急2本/h・急行6本/h・普通8本/hの16本/hを確保し、三大都市圏に引けを取らない都市型ダイヤを組んでいる。

鹿児島本線しかないからこそ、不便なダイヤでもこれだけ混雑するのであろうが、都市鉄道の体裁を整えるにはせめて10分間隔程度の運転を期待したいところ。貨物列車や特急列車も多数走るために快速・普通の増発が難しいのだろうが、現状は本数が少ないために混雑を引き起こしている側面が否めない。

それでも、鹿児島本線沿線に開発されたベッドタウンへの足として、鹿児島本線快速は大いに乗客を乗せて日々走っている。しかし、2007年までは福間を経て津屋崎まで、西鉄のとある路線が伸びていた。鹿児島本線と並行する西鉄電車という意味では、天神大牟田線と似た環境であったのだが、なぜ福岡に直接乗り入れる大手私鉄の路線が一部廃止の憂き目を見たのだろうか。うがった見方をすると、西鉄電車の廃止によって鹿児島本線の混雑に拍車をかけているような気すらする。

f:id:stationoffice:20180903042848j:image西鉄千早駅の高架開業が進む一方で末端区間が廃止されるというちぐはぐな展開を見せた

その実態を確かめるべく、JR千早駅の改札を出て、隣接する西鉄千早駅の改札へ向かった。

 

(つづく)